英語教材レビュー:「英文法の鬼100則」
数ある英文法の教材の中でも、個人的に一番おすすめしたいのが、この『英文法の鬼100則』(明日香出版社)です!
2019年の11月に発売された比較的新しい本にもかかわらず、75,000部以上を売り上げる大ヒットを記録しています。
近年、英語学習者の間では「認知言語学」をベースとした英語習得が注目されていますが、その代表格である英語のパーソナルジム「ENGLISH COMPANY」のシニアリサーチャーを務める時吉 秀弥さんの著書です。
- 対象レベル:中級〜
- おすすめの学習者:文法の基礎を固めたい人、暗記ではなくロジカルに全体像を理解したい人
- 日常英会話:☆☆☆☆
- ビジネス英会話:☆☆☆
- TOEIC・英検対策:☆☆☆
こちらの動画を観ていただくと、時吉先生のすごさがわかるのですが、これまで暗記中心でつまらないと感じていた「英文法」の世界が、ロジカルな説明でストンと腑に落ちるようになります。
本の構成
- 第1章 英語の世界の3つの基本
- 第2章 動詞1 文型:動詞を単語で捉えるな、文型で捉えろ
- 第3章 動詞2 時制:実は私たちは時間をこう捉えている
- 第4章 動詞3 現在分詞:ingはここから考えよう
- 第5章 動詞4 過去分詞:イメージから理解しよう
- 第6章 動詞5 動詞の原形:その意味を考えたことがあるか?
- 第7章 動詞6 仮定法:「実際そうじゃないけど」
- 第8章 動詞7 助動詞:それは事実なのか、思っているだけなのか?
- 第9章 名詞:動詞が「木」なら名詞は「木の実」
- 第10章 形容詞と副詞:「修飾する」の真実
- 第11章 前置詞:これが捉えられれば熟語を攻略できる
- 第12章 語順:語順自体が持つ「心理」を理解せよ
- 第13章 説得するための英語:「型」を作り英語で思考するトレーニング
本の構成としては、動詞のパートにかなりのページが割かれています。関係詞と比較が章立てされていないのも大きな特徴です。各章ごとに、見開き4ページ分の項目が割り当てられ、全部で100の法則が紹介されています。
「英文法の鬼100則」のここがすごい!
時吉先生のアプローチは、英語と日本語の物の見方の違いに注目し、暗記や詰め込みではなく英語脳をまずインストールしてから学習を深めていこうという点が興味深いです。
英語を理解するには動詞のマスターが重要とあちこちで言われていますが、時吉先生も動詞が作り出すさまざまなイメージ、特に時制と助動詞をキーパートとして多くのページを割いています。
学校教育では”will”は「未来」の表現だと教わってきた方が多いと思います。でも、”be going to〜”とのニュアンスの違いや、仮定法、依頼、勧誘などで使われる”will”は本当に「未来」なのか?という疑問にぶつかり、先生からも納得する回答が得られなくて、
とにかく暗記するしかないんだ→覚えきれない→実際に使えない
という負のループをたどってきた人も多いのではないでしょうか。そんな、今までの「英文法」のモヤモヤをクリアにしてくれるのが、本書『英文法の鬼100則』です。